ノミ・マダニ

ワクチン・予防のイメージ写真

ノミやマダニは散歩中など、外出の際に寄生する以外にも、人が外から連れてくる場合もあります。寄生されるとアレルギーや貧血など様々な病気を引き起こしてしまう場合もありますし、人にも感染して様々な病気の原因となることもあります。ノミやマダニはなるべくつかないように予防することが重要です。

ノミは約2000個の卵を産むと言われ、1匹ノミがいたら、50倍以上の卵・幼虫・さなぎがいると考えられています。寄生されると強いかゆみを感じ、皮膚に障害をもたらすなど、下記のように病気をもたらします。

ノミアレルギー性皮膚炎

ノミに吸血されることにより、唾液成分が体内に入って、アレルギー反応を起こします。激しいかゆみや痛み、湿疹、脱毛などを伴う皮膚炎です。

サナダムシ(瓜実条虫)

ノミの幼虫がサナダムシの卵を食べ、成虫になったノミをグルーミングなどの際に口に入れてしまうことで発症します。サナダムシは小腸に寄生し、下痢や嘔吐を引き起こします。

猫ひっかき病

感染した他の猫からノミを媒介して感染します。バルトネラ菌が原因で、猫に症状はありませんが、人間が引っかかれたり咬まれたりすると感染し、発熱や頭痛、リンパ節の腫れなどが現れます。
マダニは草むらなどに生息していて、自分の体の100倍もの動物の血を吸います。それにより吸血された動物が貧血を起こすこともあります。また様々な寄生虫やウイルスを媒介するので注意が必要です。中には人に感染するものもあります。

犬バベシア病

バベシア原虫の寄生により、赤血球が破壊され、食欲不振や貧血、発熱、黄疸などの症状が現れます。

猫ヘモバルトネラ症

ヘモバルトネラという細菌の寄生によるもので、貧血や発熱などの症状が現れます。

ライム病

動物たちだけではなく、人にも感染するもので、いぬでは神経症状や発熱、食欲不振などが現れ、人では皮膚や神経、関節などに炎症が現れます。
重症熱性血小板 減少症候群(SFTS)
マダニを介して人にも感染する病気で、発熱や倦怠感、腹痛、下痢、リンパ節の腫れ、意識障害、言語障害、さらには出血しやすくなるなどの症状が現れ、重症化すると死に至ることもある恐ろしい病気です。

フィラリア

フィラリアは蚊が媒介する糸状の虫が動物の体内に入り込むことで感染する病気です。蚊が動物から吸血する際に、フィラリアの幼虫(ミクロフィラリア)が動物の体内に入ります。感染時は1mm以下のサイズですが、数年間放置すると10cm~数十cmの成虫に成長し、動物の呼吸器・循環器・泌尿器などに様々な疾病を引き起こします。また、血管や心臓に絡まったり塞いだりして、突然死を起こす可能性もあります。

フィラリアは犬だけの病気?

人間も猫も蚊に吸血される際にミクロフィラリアが体内に入ることがあります。しかし、人間や猫の体内ではミクロフィラリアが成長することが出来ず、すぐに死滅してしまうと考えられています。
ただ、極めれ稀に人間や猫の体内でもフィラリアが成虫まで成長し、呼吸器疾患や突然死を引き起こす事例も報告されています。

フィラリア予防について

4月終盤・5月半ば頃から11月半ば・12月半ばまでの約8ヶ月間の予防が必要です。基本的には毎月1回飲むタイプのお薬(シンパリカトリオ®)を選択される方が多いですが、どうしても飲まない子のために1年間の効果を発揮するフィラリア薬の注射(プロハート12®)を行う場合もございます。

フィラリア薬は、フィラリアが体内に寄生していないことを前提として投与するように決められています。フィラリアが寄生している状態でお薬を投与すると、一度に大量のフィラリアが駆虫され、心臓や血管内に詰まったりして大静脈症候群・アレルギー・心停止など重篤な症状が起こるからです。
そのため、フィラリア薬を処方・投与する前には少量の血液を使った検査を実施致します。

狂犬病ワクチン・混合ワクチン

毎日のお散歩やドッグラン等で他の犬と触れ合う犬はもちろん、ほとんど室内にいる猫でも、ウイルスや細菌による感染症のリスクはあります。軽い症状のものもありますが、重篤になり命に関わるものもあります。その多くはワクチン(予防接種)によって感染や重症化を予防できるものです。ワクチン接種は大切な家族を守るためにも、重要なものです。

ペットホテルやドッグラン、トリミング等の施設では、ワクチン接種済みであることが利用条件になっていることも多くなっていますので、法律で接種が定められている狂犬病はもちろん、任意のワクチン接種もご検討ください。

感染症とワクチンの種類について

その年の気候や飼育環境、ライフスタイルに合わせ、接種するワクチンの種類や接種のタイミングなど、それぞれに対応した予防プログラムをアドバイスいたします。お気軽にご相談ください。
 
感染症
  • 犬ジステンパー
  • 犬伝染性肝炎
  • 犬レプトスピラ感染症
  • 犬パラインフルエンザウイルス感染症
  • 犬アデノウイルス2型感染症
  • 犬パルボウイルス
  • 猫ウイルス性鼻気管炎
  • 猫カリシウイルス感染症
  • 猫汎白血球減少症
ワクチン
  • 犬5種、6種、8種、10種混合ワクチン
  • 狂犬病ワクチン
  • 3種混合ワクチン

犬の予防注射(ワクチン接種)について

子犬の場合、生まれる時に親から貰った免疫(移行抗体)が残っていますので、これが切れるタイミングでワクチンを接種することがポイントです。また、健康状態や体質によっては副作用の危険や十分な免疫を獲得できない場合がありますので、予防注射(ワクチン接種)の前に健康状態のチェックを行います。

一般的な子犬の場合

生後42日~60日から接種をスタートし、1ヶ月ごとに計3回のワクチン接種をお勧めします。それ以降は、毎年1回の追加接種を行います。

  • 1回目/生後42〜60日
  • 2回目/生後約3ヶ月
  • 3回目/生後約4ヶ月 (ご希望により)
  • 毎年1回/追加接種

ワクチンの注意事項

ワクチンの副作用について

ワクチンの副作用として、注射部位の疼痛や硬結、血管浮腫 (顔が腫れるなど)、蕁麻疹、発熱、元気消失などの反応が現れる場合があります。こうした反応は半日~1日位経って現れることもあり、ワクチン接種はなるべく午前中に行われることをお勧めします。夕方接種すると深夜に症状が出てしまう可能性があります。

また稀に、接種後にアレルギー反応を起こす場合があります。可能性はわずかながら、重篤なアレルギー反応であるアナフィラキシーショックを起こすこともあり、緊急に処置を行わないと命にかかわります。アナフィラキシーショックは通常、接種直後~30分以内に発生しますのでワクチン接種後はしばらく院内、もしくは病院の近くで様子をみていただきます。

ワクチン接種後について

ワクチンを接種した当日は、ワクチンによるアレルギー症状が現れないか、帰宅後も注意が必要です。注射後2~3日間は安静にするようにし、激しい運動やシャンプーなどは控えてください。また免疫(予防効果)が得られるまでに2週間ほどかかるとされており、それまでは他の動物との接触を控えてください。狂犬病ワクチンと混合ワクチンの場合は、4週間以上間隔を空けることが推奨されています。