避妊・去勢について
去勢・避妊手術は、オスでは精巣の摘出(去勢)、メスでは卵巣と子宮の全摘出(避妊)を行います。本来、不幸になる動物たちを増やさないという目的がありましたが、近年、去勢・避妊手術による将来的な動物たちの健康におけるメリットも考えられるようになっています。
手術について
手術の実施に際しては、血液検査・X線検査・心電図検査、さらに必要に応じて、血液凝固検査・超音波検査などの検査を行います。去勢・避妊手術は広く一般的に行われているため、簡単な手術と思われがちですが、実は医療事故が起こる確率が少なくない面もあります。
麻酔に関しても、安全な吸入麻酔を使用し、各種生体モニターによるチェックを行い、安全な手術を行います、また、肉芽腫の誘因となる縫合糸を体内に残すことを避けるため、超音波装置や高周波血管シーリング装置による止血を行い、極力体内に縫合糸を残さない手術を行います。さらに、なるべく動物が痛みを感じなくて済むよう、積極的な鎮痛処置も行います。
去勢・避妊手術の流れ
- 事前にお電話にてご連絡いただき、手術のご予約をお願いします。
- 手術当日の午前中は、ごはん・お水をとらないようにしてください。
- まず術前検査を行い、問題なければ手術を行います。手術時間は去勢手術が約30分、避妊手術が約60分です。
- 猫の去勢手術は抜糸の必要はありません。犬の去勢手術および犬・猫の避妊手術は約2週間後に抜糸のご受診をしていただきます。
マイクロチップ
マイクロチップは、動物の体内に埋め込むための半径約1~2mm・長さ約10mmの円筒状のカプセルです。カプセル内のチップには15桁のIDが書き込まれており、万が一離れ離れになってしまった場合でも、データベースを介して飼い主を特定し、再会できる確率を高めることができます。
2011年の東日本大震災の際のある自治体で保護された犬猫の例だと、迷子札や鑑札、狂犬病予防注射済票を身に着けていた場合は100%飼い主様が判明しましたが、迷子札の付いていない首輪のみの場合は、飼い主の所在が判明したのは犬で0.5%、猫はゼロだったという報告があります。首輪や鑑札のように外れてしまうことがないマイクロチップは、災害時に大きな効果を発揮することが期待されています。
マイクロチップの挿入
マイクロチップは、手術などではなく注射の要領で犬や猫の背中に差し込み、そこから動かないように設置します。針が細いためそこまで痛みを伴うものではありませんのでご安心下さい。当院では、去勢・避妊や最初の健康診断時にマイクロチップの挿入を行うことを推奨しています。
なお、2022年6月1日以降にペットショップやブリーダーからペットを購入・譲受した場合はすでにマイクロチップは挿入されています。
当院では、共立製薬のスリムチップ バイオポリマー「KS®」というマイクロチップを採用しています。
マイクロチップの情報登録
マイクロチップに書き込まれた15桁の番号と、飼い主様の情報を紐づけて環境省や日本獣医師会のデータベースに登録する必要があります。ペットショップやブリーダーから動物を購入・譲受したり、動物病院で新しくマイクロチップを挿入した場合は、30日以内にマイクロチップの情報変更・新規登録を環境省や日本獣医師会に申し出ることが義務付けられています。
情報変更・新規登録には、動物病院から入手したマイクロチップ装着証明書、もしくはペットショップやブリーダーから入手したマイクロチップの登録証明書が必要です。
データベースに登録する飼い主様の連絡先は、動物と離れ離れになってしまったときの生命線と行って良いでしょう。携帯電話の番号が変わったり住所が変わった際には、必ずマイクロチップの情報変更をするようにしましょう。
マイクロチップの情報読み取り
マイクロチップには、チップ固有の15桁の番号が書き込まれています。
ほとんどの動物病院には、マイクロチップの挿入用の注射器だけではなくマイクロチップのリーダーがありますが、場合によっては動物病院では15桁の番号から飼い主を割り出すことはできません。
その場合は、警察署・(平日の場合は)保健所や市役所などの行政組織にてマイクロチップの15桁から飼い主情報を割り出すことができます。